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「常用漢字の事件簿」 [読書]

▼読み終わった本
*「常用漢字の事件簿」
円満字二郎・著、NHK生活人新書


常用漢字の事件簿

常用漢字の事件簿

  • 作者: 円満字 二郎
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2010/05/07
  • メディア: 新書


【帯紹介】
******************************

かい人21面相からミゾウユウ首相まで。
世間を騒がせた”事件”の陰にあったもの
———それは”漢字”だった。

スーパーに「毒入り危険」のチョコ
名前の読み方で詐欺、被害100億円
首相「未曾有」を「ミゾウユウ」と発言

******************************

著者は、出版社で教科書担当などを経て漢和辞典の編集に携わっているとのこと。
もちろん漢字に詳しいわけです。
以前、「昭和を騒がせた漢字たち―当用漢字の事件簿」「人名用漢字の戦後史」という漢字に関する本を読みました。

前回は「当用漢字」に関する事件簿でしたが、今回は「常用漢字」です。
常用漢字は、つい先日約200字が新たに追加されたばかりですが、元々は1981年に当用漢字に変わって『制定』されました。

「常用漢字」は役所やマスコミがふだん使う漢字の「目安」となるものですが、日頃、文章を使って意思や情報の伝達を行うにあたっては、漢字は不可欠ですから、いろいろと『事件』も起きるわけです。

帯の紹介文で「ああ、あの事件か」と思い当たる方も多いと思いますが、1つだけ説明すると、「名前の読み方で詐欺」というのは、金融機関の「借り手の信用情報」(要するに『ブラックリスト』)がまだカナ文字だった時代、「名前の漢字を変えずに、読み方だけを変えて借金を申し込むと、審査をすり抜けることが可能だというお話。
つまり『ブラックリスト』に載っていても借金を重ねることができるというわけです。

もちろん、「消えた年金」で浮き彫りになったずさんな年金記録の場合も同じような問題があったということです。

そして、常用漢字が『制定』された1981年は、ワープロが世に出る直前のこと。
当初は高額でしかも巨大だった『ワープロ』は、その後小型化して安くなり、その後、その機能はパソコンに吸収されていきます。
そして、ネット時代を迎え、漢字を入力し、世の中に送り出す作業もこの30年間で様変わりしたと言えるでしょう。

いろんな意味で、興味深い本でした。

そして、漢字とは関係ないのですが、著者は学生時代オーケストラだったとのこと。
大学名が分からないのですが、ひょっとしたら共通の知人がいるかも、と思いました。

▽購入した本
*「英語と日本語のあいだ」
菅原克也・著、講談社現代新書


英語と日本語のあいだ

英語と日本語のあいだ

  • 作者: 菅原 克也
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/01/18
  • メディア: 新書



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コメント 4

manamana

漢字の読み方にチャチャを入れているうちが華でした。
今は、何もかもチャチャが入るようになってしまいました。
by manamana (2011-02-13 06:25) 

YAP

よく使う漢字でも、意外にも常用漢字でなかったりするのがありますよね。
by YAP (2011-02-13 18:14) 

Lionbass

manamanaさま
総理大臣もですが、漢字と言えば漢字検定協会の不正というのもありましたね。
by Lionbass (2011-02-16 22:18) 

Lionbass

YAPさま
今回、固有名詞のうち県名に使われる感じは常用漢字に入ったのですが、市町村名は入らなかったので、「鷹」という字の付く自治体はがっかりみたいですね。
by Lionbass (2011-02-16 22:19) 

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