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初めてのショスタコーヴィチ10番【フェドセーエフ=チャイコフスキー響を聴く】 [音楽・楽器]

7月に書いたように、ザ・シンフォニカの次回演奏会のメインの曲目はショスタコーヴィチの交響曲10番です。
http://the-symphonica.org/
http://lionbass2.blog.so-net.ne.jp/2012-07-22

きのう、来日中のチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラがこの曲を演奏するというので、聴きに行きました。

このオーケストラ、かつては「モスクワ放送交響楽団」という名前で知られていました。

現在の正式名称は、ロシア語では「チャイコフスキー記念ボリショイ交響楽団」というのが正しいようで、ホームページを見ると、"Большой Симфонический Оркестр им. П. И. Чайковского"となっています。
http://www.bso.ru/
ちなみに「ボリショイ」(Большой)は「大きい」という意味で、固有名詞ではありません。

一方、英語サイトは"Tchaikovsky Symphony Orchestra"と表記。
日本での興業はこの英語名称で通しているようです。
でも「シンフォニー・オーケストラ」は通常「交響楽団」と訳すのが普通。
なんでわざわざ英語なんでしょうか?(ロシアのオケなのに)

IMGチャイコフスキー響プログラム.jpg
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フェドセーエフ80歳記念ツアー
チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ
日時:2012年10月17日(水)午後7時開演
会場:サントリーホール(東京・赤坂)
指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ(芸術監督・首席指揮者)
曲目:スヴィリーフドフ 交響組曲「吹雪」
   (冬の道—ワルツ—婚礼の儀式—軍隊行進曲—ロマンス—ワルツ・エコー)
   リムスキー=コルサコフ 「スペイン奇想曲」
  (アルボラーダ―変奏曲―アルボラーダ―シェーナとロマ(ジプシー)の歌―ファンダンゴ・アストゥリアーノ)
   ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 ホ短調
  <アンコール>
   チャイコフスキー バレエ音楽「白鳥の湖」より「スペインの踊り」
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img_20121017.jpg

客の入りが悪くて、たぶん4割くらい(かもっと少ない感じ)でした。
(おかげでゆったり座って聴いてました。)
サントリーホールでの演奏会で、あれだけ空席があるのはかなり珍しいのではないでしょうか?
(台風など悪条件の場合を除く…。きのうは小雨でした。)


さて、演奏についてです。

1曲目はスヴィリードフという名前も知らなかった作曲家の「交響組曲『吹雪』」という曲。
「映画音楽みたいだな」と思ったら、本当に映画音楽でした。(笑)

スヴィリードフはレニングラード音楽院でショスタコーヴィチに学んだ作曲家で、フェドセーエフが積極的に取り上げているそうです。

オケとしても演奏し慣れているのでしょう。
とてもこなれた「名人芸」のちりばめられた演奏でした。
一番初めの「冬の道」の冒頭は、太鼓(響き線をオフにしたスネアドラム?)と弦の『刻み』が粉雪の降る様子を表しているよう。

「ワルツ」はハチャトリアンの「仮面舞踏会」にそっくり。
途中テューバの「ソロ」が印象的でした。(ちょっと不思議な音色でした。)
そして「軍隊行進曲」は管楽器・打楽器だけで奏する「吹奏楽」による典型的なマーチでした。


次の「スペイン奇想曲」は大学時代に1度だけ演奏したことがあります。
これもクラリネットをはじめとする管楽器やコンサートマスターの名人芸が続々登場。
懐かしくかつ安心して聴けました。
最後の方にヴァイオリンが1st→2ndの順に演奏する箇所があり、「対向配置」(1stヴァイオリンと2ndヴァイオリンが左右に分かれて座る)が効果的でした。


そして、後半はショスタコーヴィチ10番。
生演奏を聴くのは初めてでした。
長大な1楽章はじめ、最初から最後まで退屈せずに聴けました。
なにしろ、iPodに入れてほぼ毎日のように聴いているので、曲が大体頭に入っていますし…。

ホルンのトップは、前半とは違う奏者でしたが、ソロの部分で強烈なビブラートをかけてました。
かつて「ロシア(ソ連)のオケ」と言えば、「金管楽器のビブラート」が特徴でした。
前半(スヴィリードフとリムスキー=コルサコフ)のトップはそうでもなかったので、なんだか「懐かしいものを聞いた」という感じでした。


ところで、私、「楽器オタク」なもので、オーケストラの演奏会に行くと、いろんな楽器を観察するのが楽しみです。

ということで、以下、オペラグラスを通して見た観察結果(一部「推測」含む)についての報告です。

まずオケ全体の配置(座る位置)について。

弦楽器は「対向配置」でコントラバス(9人)はステージ奥に(ほぼ)横1列に並んでました。

木管楽器の並びは普通。

金管は木管後列とコントラバスの間にトランペット(3-2-1)→トロンボーン(1-2-3)→テューバ→ホルン(4-3-2-1)の順に横1列に座ってました。
つまりテューバがど真ん中に座っていて、ちょっと珍しいかも…。


そして、個別楽器について。
まずはコントラバス
9人が舞台後方、最上段に位置していましたが、ステージ(山台)の幅が足りず、完全な横一列ではなくて1人だけ前に出たような形でした。
9本中3本が5弦。
3本が(たぶん)ルブナー(ドイツのコントラバス製作メーカー)でした。
ルブナーは、日本でもアマチュアからプロまで使われていて、そんなに高くない楽器もあります。(きのう使われていた楽器については、値段までは分かりません。)
コントラバスは全員フレンチボウ。
10番の冒頭の弓順はアップからでした。
(コントラバス以外の弦楽器についてはよく分かりません。)

次は金管楽器
テューバはオーソドックスなドイツ式のロータリーで(たぶん)B♭管。
3番トロンボーンは前半の奏者はダブルのセイヤーバルブ、後半はシングルのロータリー(オープンラップ)でした。
1-2番トロンボーンもオープンラップのテナーバス。
メーカーは分かりませんが、ロータリーバルブがちょっと大きめに見えました。

ホルンですが、前半の3-4番奏者は(たぶん)アレキサンダー(ひょっとしたらデスカント・ダブル)。
他の奏者の楽器(メーカー)は確認できませんでしたが、後半(ショスタコーヴィチ)の2番奏者の楽器は銀白色のように見えました。

トランペットは3人中2人がB♭管で、1人(前半1st、後半3rd)がC管。
3人ともピストン(いわゆる「縦ラッパ」)で銀白色でした。
でも、抜き差し管のところの「支柱」や小指掛けの形状が違ったので、メーカーはバラバラではないかと思います。

木管楽器ですが、クラリネットはフランス管で、1番奏者はバレルなしの楽器を使ってました。
(ほかの木管はよく分からず。)

ところで、トランペット以外、なぜか楽器スタンドを使っていないのが気になりました。

クラリネットはいすを置いて楽器ケースを載せて、そこに置いてました。
3rdファゴット兼コントラファゴット奏者も、楽器を椅子に寝かせてました。
トロンボーン奏者は休みの間も楽器を持ったまま…。

何かスタンドを使わない理由があるのでしょうか?
確かに弦楽器が余裕をもって座っている一方で、管楽器は窮屈そうな配置に見えたので、スタンドを置くスペースがなかったのかもしれませんが…。
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