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「漢文と東アジア――訓読の文化圏」 [読書]

▼読み終わった本
*「漢文と東アジア――訓読の文化圏」
金文京・編著、岩波新書


漢文と東アジア――訓読の文化圏

漢文と東アジア――訓読の文化圏

  • 作者: 金 文京
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/08/21
  • メディア: 新書


【帯紹介】
******************************

漢文訓読は
日本独自のものではない

東アジアの文化を
トータルに把握するために

******************************

「漢字を『訓読み』するのは、日本独自の『発明』(現象)ではなく、中国における仏典(サンスクリット語)の中国語への翻訳に起源がある」とのお話を詳しく『説明』した本です。

詳しい内容は読んでいただくとして、一つ面白いと思ったのは、中国の古い文章を現代中国の言葉に直した場合の話。
例えば「三国志」の文章が例にとられているのですが、次のようになります。
三国志=「衆士仰慕、若水之帰海」(衆士仰ぎ慕うこと、水野海に変えるがごとし)
現代文=「人們仰慕擁戴他、如同水帰大海一様」(人々は彼を仰慕し擁戴すること、まるで水が大海に帰るようであった)
詳しい説明は省きますが、一部語順が変わっていたり、一つの文字を2文字以上に分けて『翻訳』するなど、『漢文』に『返り点』を打って訓読する例に似ているとの話です。

思えば、ヨーロッパの言語にも、少し似た現象があるのではないでしょうか。
例えば「Paris」はフランス語では「パリ」で、英語読みにすると「パリス」ですが、フランスの首都のことである、という『意味』はちゃんと伝わっているわけです。
これは固有名詞なので、例としては不適切かもしれませんが、「英語の文章にフランス語の単語が混ざっていて、英語読みしながらも意味はちゃんと伝わる」という現象があるとすれば、これは訓読みに似ているような気がします。


▽購入した本
*「激変! 日本古代史 卑弥呼から平城京まで」
足立倫行・編著、朝日新書


激変! 日本古代史 卑弥呼から平城京まで

激変! 日本古代史 卑弥呼から平城京まで

  • 作者: 足立倫行
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/10/13
  • メディア: 新書





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コメント 2

青沢東(QMY)

外国の言葉を理解するのに色々と工夫するのは洋の東西を問わず同じ現象かもしれませんね。ちょっと違うかもしれませんが、大学受験の時、予備校で英語に色々とかっこをつける方法を学びました。名詞節、形容詞節、副詞節をそれぞれの決まったかっこでくくって構造を理解して訳していく…ちょっと訓読みに似ている気がしました。
by 青沢東(QMY) (2010-12-08 21:34) 

Lionbass

「英語の文章に括弧をつける」のは、実際に書かなくても頭の中ではやってますよね。
「英語の文章に『返り点』を打つ」っていう話も、どこかで聞いたような気がします。
by Lionbass (2010-12-10 22:57) 

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