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「もうダマされないための『科学』講義」 [読書]

▼読み終わった本
*「もうダマされないための『科学』講義」
菊池誠・著、光文社新書


もうダマされないための「科学」講義

もうダマされないための「科学」講義

  • 作者: 菊池 誠
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/16
  • メディア: 新書

【帯紹介】
******************************
科学とはなにか?
科学と科学でないものの間は?
科学を上手に使うには?

学校が教えてくれない科学的な考え方をわかりやすく解説!
SYNODOS READINGS 第4弾。
巻末に「放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち」(片瀬久美子)を収録
******************************


次のような章立てになっています。
はじめに
1章 科学と科学ではないもの 菊池誠
2章 科学の拡大と科学哲学の使い道 伊勢田哲治
3章 報道はどのように科学をゆがめるのか 松永和紀
4章 3.11以降の科学技術コミュニケーションの課題
   —日本版「信頼の危機」とその応答 平川秀幸
付録 放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち 片瀬久美子


とても考えさせられる本でした。
第1章でまず紹介されているのは、「女性の平均年齢」と「ある値」の強い相関関係(比例する関係にある)を示すグラフ。
つまり「ある値」が上昇すると、女性の平均年齢も比例して上がっているという例です。

この「ある値」とは、実は「100世帯あたりのテレビの保有台数」。
つまり、「テレビの保有台数」と「女性の平均年齢」には強い相関関係があるというわけです。

お分かりのように、「テレビの台数」と「平均寿命」は「原因と結果」ではなく、どちらも「所得増加や生活水準の向上」の『結果』です。
でも、グラフを見せながらこれを「原因と結果」のごとく説明すれば、信じてしまう人もいるのではないでしょうか?

現在、「科学的」と称して巷に流布している『説』の中には、この種のものがあふれているというわけです。

この本で触れられている「一見科学的だが実は…」という『ニセ科学』の例には、次のようなものがあります。
・血液型性格診断
・マイナスイオン
・『水からの伝言』と波動
・ホメオパシー
・ゲーム脳
・EM菌
・天皇家のY染色体継承説
・磁気水や活水
・百匹目の猿

…これらの中には、「正しい部分もあるが、科学的な範囲を超えて信じられていて混乱が起きている」というものもあれば、「根本からほぼアヤしい」というものもあるようですが、結構いろいろあることに驚かされます。

あとこの本で考えさせられたのは、マスメディア全体に「科学的な基礎(知識)」が欠落している問題。
報道には時間的な制約があるとはいえ、大いに反省すべきだと思いました。

▽購入した本
*「タブーの正体!  マスコミが『あのこと』に触れない理由」
川端幹人・著、ちくま新書


タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由

タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由

  • 作者: 川端 幹人
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/01/05
  • メディア: 新書



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コメント 2

YAP

マスメディアに科学的な知見が不足していることは、エンジニアの立場で見ているとよくわかります。
御用学者が言うことをそのまま真に受けたかと思うと、評論家先生が言う反論に同調したり。
製作者の中にそういうことを正しく理解できる人が必要かもしれないですね。
by YAP (2012-01-25 08:11) 

Lionbass

YAPさま
全くおっしゃる通りです。
簡単なことではないですが、なんとかしたいと思ってるんですが…。
by Lionbass (2012-01-27 20:53) 

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