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「中国化する日本」 [読書]

▼読み終わった本
*「中国化する日本 日中『文明の衝突』一千年史」
與那覇潤・著、文藝春秋


中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

  • 作者: 與那覇 潤
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/11/19
  • メディア: 単行本

【帯紹介】
******************************
源平合戦からポスト「3.11」まで
日本史は「中国化」 vs. 「再江戸時代化」で斬れる
右も左も驚愕の「ほんとうに新しい歴史教科書」
行き詰まり日本をやり直すには、まず歴史の立て直しを!
32歳、准教授、白熱の大学歴史講義

******************************

著者は1979年生まれで、現在愛知県立大の准教授。
専門は日本近現代史です。

衝撃的で刺激的な(ショッキングでエキサイティングな<笑>)本でした。
でも、決して独自の説だったり、突飛な説というわけではなく、著者は「専門家の間ではもう常識なのに、一般の歴史ファンにはなかなか広まっていかない通史像を読者に分かりやすく届ける」のが目的である…と「はじめに」に書いています。

そして、本文で何度も繰り返し強調されてますが、「中国化」とは、『近未来の日本が中華人民共和国の支配下に入る』ということではなく、「日本社会のあり方が中国社会のあり方に似てくること」と説明されています。

「宋」(10世紀後半〜)の時代の中国で実現した『中国型の近世』は、世界に先駆けた「近代的」なシステムだというのが、この「中国化」について考える上で重要です。
どのように近代的なシステムなのかというと、「科挙」「郡県制」「貨幣経済」などがその中心。
これにより、「貴族により世襲政治」が終焉を迎え、庶民も土地にしばられない自由な移動が可能になったというわけです。

一方、宋の時代=つまり10〜13世紀のヨーロッパはまさに「暗黒の中世」で、世界でも遅れた地域であり、中東のアラブ世界などの方がよっぽど進んでいたことはよく知られている通りです。

そうした「世界に先んじていた中国」のシステムの方に向かっていくのか、それとも中国との関わりを経って「鎖国」により独自の道を歩んでいた江戸時代に戻るのがよいのか、というのがこの本で取り上げられている命題です。

それにしても、日本人は「江戸時代」と「明治維新」が本当に好きなんですね。
この本の説明を読んでいて、改めて分かりました。

最後に、この本の章立てと、各章の扉に書かれている文章を紹介します。
はじめに 新たな歴史観としての「中国化」
第1章 終わっていた歴史———宋朝と古代日本
   源平合戦とは、中国化勢力(平家)と反中国化勢力(源氏)の争いだった。
   グローバル時代に読みなおす「日本史」
第2章 勝てない「中国化」勢力———元・明・清朝と中世日本
   16世紀後半の「銀の大行進」で、モンゴルとヨーロッパはつながった。
   そして日本だけでなく全世界が戦国乱世の世に
第3章 ぼくたちの好きな江戸———戦国時代が作る徳川日本(17世紀)
   血みどろの内戦のなかから、江戸という超長期安定社会が生まれた。
   中国とも西洋とも違う「第三の道」
第4章 こんな近世は嫌だ———自壊する徳川日本(18〜19世紀)
   江戸時代は「地上の楽園」だったのか?その裏でいったい何が?
   破綻した「美しい国」の幻想
第5章 開国はしたけれど———「中国化」する明治日本
   羊頭狗肉か、それとも狗頭羊肉か?
   明治維新は「西洋化」の皮をかぶった「中国化」だったのだ
第6章 わが江戸は緑なりき———「再江戸時代化」する昭和日本
  ノスタルジアは、死に至る病———
  世界大戦の時代に甦った、日本近世の悲劇
第7章 近世の衝突———中国に負けた帝国日本
  日中二大文明、その最大の抗争。
  千年史の歩みが映し出す「あの戦争」の隠れた本質
第8章 続きすぎた江戸時代———栄光と挫折の戦後日本
  それでもアンコールの声、未だ鳴り止まず。
  喜びも悲しみも、日本人は自らの近世とともに
第9章 「長い江戸時代」の終焉———混乱と迷走の平成日本
  終わったはずの時代が何度でもプレイバック
  永劫回帰する二つの近世に日本停滞の真因を見る
第10章 今度こそ「中国化」する日本———未来のシナリオ
  日本は、世界は、中華文明の最盛期に回帰するのか?
  恐れるべきは、「中国」ではなく「中国化」
おわりに ポスト「3.11」の歴史観へ

▽購入した本
*「タブーの正体!  マスコミが『あのこと』に触れない理由」
川端幹人・著、ちくま新書


タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由 (ちくま新書)

タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由 (ちくま新書)

  • 作者: 川端 幹人
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/01/05
  • メディア: 新書



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コメント 4

soraaane

歴史的なアプローチの本だったんですね~。
上海では、中国の悪い習慣に感化されちゃってる
日本人をよく見かけましたけど、それとは違うお話ですね♪
ホッとしました(笑)
図書館で予約してみますぅ(^^)v
by soraaane (2012-01-28 10:55) 

YAP

「日本化する中国」ではなく、その逆なのですね。
by YAP (2012-01-30 17:41) 

Lionbass

soraaaneさま
「中国化」ですが、読者の注意を引くためにわざと誤解されやすい言葉を使っているのではないか、という気もします。
でもそれでこの本が広く読まれるようになれば、それはそれでいいのではないかと思ったりもします。
by Lionbass (2012-02-02 20:25) 

Lionbass

YAPさま
歴史の本であり、現代の日本のあり方についても考えさせられる本でした。
ご興味あれば是非お読みになってください。
by Lionbass (2012-02-02 20:28) 

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